【日本酒レビュー】伝説の米・亀の尾×山本。「バタフライパープル」が魅せる妖艶なメロン感
今回は、秋田県八峰町の山本酒造店から、鮮やかな紫色のラベルが目を引く「山本(やまもと)純米吟醸 バタフライパープル 生原酒」をご紹介します。
「ピュアブラック」や「ミッドナイトブルー」など、色をテーマにしたスタイリッシュな商品展開で知られる山本シリーズ。その中でもこの「パープル」は、漫画『夏子の酒』のモデルにもなった伝説の酒米**「亀の尾」**を使用した、通好みの限定品です。
個人的に「結構好き」と感じたその味わい、やはり只者ではありませんでした。
味わい:熟れたメロンの誘惑と、亀の尾の野性味
グラスから漂うのは、華やかでリッチな香り。口に含んだ瞬間のドラマチックな展開は以下の通りです。
* ファーストインパクト: まず感じるのは、芳醇な酸味。そこに仄かな甘味が寄り添い、非常にジューシーな入り口です。
* フレーバー: 口いっぱいに広がるのは、**「熟れたメロン」**のような官能的な果実味。山本らしい透明感がありつつも、どこか艶っぽさを感じます。
* 余韻: 単に綺麗なだけでは終わりません。後半に現れる苦味の余韻が、味わいに深みと陰影を与えています。
フルーティーな吟醸香と、少し癖のある苦味のコントラスト。これぞ「亀の尾」のお酒!と思わず膝を打ちたくなる美味しさです。
スペック詳細
今回頂いたボトルのデータはこちらです。
銘柄名:山本 バタフライパープル 純米吟醸 生原酒
酒蔵:山本酒造店(秋田県)
原料米:亀の尾 100%
精米歩合:55%
アルコール分:15度
特定名称:純米吟醸酒
原材料:米(国産)、米麹(国産米)
このお酒の「ここ」が凄い!深掘り解説
なぜこのお酒が「パープル」なのか、そして「亀の尾」とは何なのか。背景を知るとより美味しくなります。
1. 酒蔵について:山本酒造店
* 所在地: 秋田県山本郡八峰町
* 創業: 1901年(明治34年)
* 代表銘柄: 「山本」、「白瀑(しらたき)」
世界遺産・白神山地の麓に位置する酒蔵です。蔵元の山本友文氏は、自ら酒造りを指揮し、精米からラベルデザインまでこなすカリスマ的存在。秋田の革新的な蔵元ユニット「NEXT5」のメンバーとしても知られています。
蔵の裏手に湧き出る白神山地の湧水を直接蔵に引き込んで仕込み水にしており、その水の良さが「山本」のジューシーでキレのある酒質の根幹を支えています。
2. 伝説の酒米「亀の尾(かめのお)」
このお酒の主役は、原料米の**「亀の尾」**です。
明治時代に生まれた古い品種で、現在の美味しいお米(コシヒカリやササニシキなど)の遠い祖先にあたります。背が高く倒れやすいため栽培が難しく、一度は姿を消しかけましたが、漫画『夏子の酒』の題材となったことで有名になりました。
現代の品種に比べて、独特の穀物感や渋味、苦味が出やすいのが特徴。テイスティングノートにある「苦味の余韻」は、この品種特有の野性味が表現されている証拠です。
まとめ:どんな料理に合う?
「熟れたメロン感」と「しっかりした苦味」があるため、香りのある食材や、少しほろ苦い料理と合わせると最高です。
* 鮎の塩焼き(「亀の尾」の香ばしさと鮎の香りは鉄板の組み合わせ)
* 山菜の天ぷら(ふきのとうやタラの芽)
* 菜の花の辛子和え
* 魚介のカルパッチョ(ディルなどのハーブを添えて)
華やかさと渋さを兼ね備えた、大人のためのモダン日本酒。ワイングラスで香りを開かせながら、ゆっくりと味わうのがおすすめです。









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