【ウイスキーレビュー】カワウソが運ぶシェリーの爆弾。秩父令和商会「Lutra lutra ブレアアソール 11年」
今回は、秩父のインディペンデントボトラー秩父令和商会からリリースされた話題作、**「Lutra lutra(ルトラ・ルトラ) Blair Athol 1st Fill Oloroso Sherry Cask」**をご紹介します。
ラベルに描かれた愛らしいカワウソ(学名:Lutra lutra)。そのキュートな見た目とは裏腹に、中身はアルコール度数55%超え、しかも「1st Fill オロロソシェリー」という、濃厚かつパワフルなスペック。
甘美な誘惑とスパイシーな刺激が同居する、夜長にじっくり付き合いたい一本です。
味わい:甘い導入から始まる、スパイシーな大冒険
グラスに注ぐと、シェリー樽由来の濃い琥珀色が期待を高めます。
* ファーストインパクト: 口当たりは驚くほど甘やか。レーズンや黒糖を思わせる濃厚な甘味が舌を包み込みます。
* フレーバー: しかし、すぐに表情が一変。スパイシー感が波のように押し寄せます。ジンジャーやシナモンのような刺激が、甘みの中にアクセントを加えます。
* 余韻: 嵐が去った後は、樽由来のバニラ感のある余韻が長く続き、幸福感に満ちたフィニッシュを迎えます。
「甘いだけじゃない」この二面性が、カワウソの野生味とリンクしているかのようです。
スペック詳細
今回頂いたボトルのデータはこちらです。
銘柄名:Lutra lutra(ルトラ・ルトラ) Blair Athol
ボトラー:秩父令和商会(日本)
蒸溜所:ブレアアソール蒸溜所(ハイランド)
熟成期間:11年
カスク:1st Fill オロロソシェリーカスク
度数:55.3%
原料:モルト
このウイスキーの「ここ」が凄い!深掘り解説
ラベルのカワウソと、中身の「ブレアアソール」の意外な関係性を紐解きます。
1. 蒸溜所について:ブレアアソール(Blair Athol)
スコットランドのハイランド地方、保養地としても有名なピットロホリー村にある蒸溜所です。
実はここ、有名なブレンデッドウイスキー**「ベル(Bell’s)」のキーモルト(核となる原酒)**を作っている蒸溜所として知られています。ナッツのような香ばしさと、スパイシーでコクのある酒質が特徴で、シェリー樽との相性は抜群と言われています。
2. なぜ「カワウソ(Lutra lutra)」なのか?
商品名の「Lutra lutra」は、ユーラシアカワウソの学名です。
ブレアアソール蒸溜所の仕込み水に使われる「アルト・ダワー・バーン(小川)」が注ぎ込むタメル川には、実際に野生のカワウソが生息していることで知られています。蒸溜所の豊かな自然環境そのものをボトルに閉じ込めた、素敵なコンセプトです。
3. 「1st Fill オロロソシェリー」の威力
このボトルの色と味の濃さを決定づけているのが、**「1st Fill(ファーストフィル)」**という樽の条件です。
シェリー酒の熟成に使った樽を空にして、最初にウイスキーを入れたものを指します。樽の成分がまだたっぷりと残っているため、シェリー樽特有のドライフルーツのような甘みや、スパイシーなタンニンが色濃く反映されます。
まとめ:どんなおつまみに合う?
濃厚なシェリー感と高いアルコール度数を持つため、食事と合わせるよりは、食後に甘いものやナッツとゆっくり楽しむのがおすすめです。
* ビターチョコレート(カカオ70%以上推奨。スパイシーさと完璧にマッチします)
* ミックスナッツ(特にアーモンドの香ばしさと合います)
* ドライフルーツ(イチジクやレーズン)
* バニラアイス(上から少しかけて「大人のアフォガート」に!)
ストレートで強すぎると感じたら、数滴加水してみてください。甘みがさらに開き、バニラの香りが際立ちます。









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