【日本酒レビュー】山口の隠れた銘酒「中島屋 純米吟醸」に見る、酸と旨味の黄金比
今回は、山口県周南市から中島屋酒造場の**「中島屋 純米吟醸」**をご紹介します。
山口県といえば「獺祭」や「東洋美人」が有名ですが、この「中島屋」もまた、日本酒好きなら押さえておきたい実力派の銘柄です。実際に飲んでみた感想と、スペックの凄さについて深掘りしていきます。
味わい:厚みのある酸と、ほのかなパインの風
グラスに注いでまず感じたのは、穏やかながらも芯のある香り。口に含んだ瞬間の印象は以下の通りです。
ファーストインパクト: 厚みのあるしっかりとした酸味と、米の旨味がグッと広がります。
* フレーバー: 重厚さの中に、ふわりと**「微かなパイン感」**を感じました。このフルーティーさが、全体の味わいをモダンに引き締めています。
余韻: 最後には心地よい苦味が顔を出し、キレの良い余韻を残して消えていきます。
ただ甘いだけの吟醸酒ではなく、食中酒として輝く骨太さを持ち合わせている一本です。
スペック詳細
今回頂いたボトルのデータはこちらです。
| 項目 | 内容 |
|—|—|
| 銘柄名 | 中島屋 純米吟醸 |
| 酒蔵 | 中島屋酒造場(山口県) |
| 原料米 | 山田錦 100% |
| 精米歩合 | 50% |
| アルコール分 | 16% |
| 原材料 | 米(国産)、米麹(国産米) |
このお酒の「ここ」が凄い!深掘り解説
1. 酒蔵について:中島屋酒造場
* 所在地: 山口県周南市(旧 新南陽市)
* 創業: 1823年(文政6年)
* 代表銘柄: 「中島屋(なかじまや)」、「カネナカ」
江戸時代末期から続く歴史ある酒蔵です。代表銘柄の**「カネナカ」は、伝統的な「生酛(きもと)造り」で知られ、燗酒にして美味しい骨太なお酒として有名です。
一方、今回飲んだ「中島屋」**シリーズは、特約店限定の銘柄。伝統の技術をベースにしつつ、より香りや透明感を意識した、現代の食卓に合う設計がなされています。
2. 贅沢すぎる「精米歩合50%」
ここが一番の注目ポイントです。ラベルには「純米吟醸」とありますが、精米歩合は50%。
実は、法律上の定義(特定名称酒)では、精米歩合50%以下は**「純米大吟醸」**と名乗ることができるスペックです。
あえて「純米吟醸」として出している点に、酒蔵の謙虚さと、「日常で飲める高品質な酒を届けたい」という心意気(そしてコスパの良さ!)を感じます。
3. 原料米:山田錦100%
「酒米の王様」と呼ばれる山田錦を100%使用しています。山田錦特有のふくよかな旨味と、雑味の少ない綺麗な酒質になりやすい特徴が、今回の「厚みのある旨味」と「パインのような吟醸香」に直結しています。
まとめ:どんな料理に合う?
「厚みのある酸味」と「苦味の余韻」があるため、淡白な刺身よりは、少し味のしっかりした料理との相性が抜群です。
* 豚の角煮や味噌漬け
* クリームチーズの醤油和え
* 焼き鳥(タレ)
など、旨味の強いおつまみと合わせると、お酒の酸が脂を切ってくれ、最高のペアリングになるはずです。山口県の地酒の層の厚さを改めて感じさせてくれる一本でした。









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