今回は、宮城県蔵王町の銘醸・蔵王(ざおう)酒造から、創業150年という大きな節目を記念して醸された特別な一本**「蔵王 -Four Seasons-(フォーシーズンズ)」**をご紹介します。
「150周年記念酒」と聞くと、とことん米を磨いた大吟醸を想像するかもしれません。
しかし、蔵王酒造が出した答えは、真逆の**「精米歩合85%」**。
あえて米を削らないことで、地元の米「美山錦」のポテンシャルを極限まで引き出しつつ、驚くほどジューシーでフルーティーに仕上げた、技術の結晶とも言える意欲作です。
味わい:低精白とは思えない透明感。蜜入りリンゴのジューシーな旨味
グラスに注ぐと、色合いは美しく澄んでいます。口に含んだ瞬間、スペック(85%精米)を見て抱いていた「雑味があるのでは?」という予想は、良い意味で完全に裏切られました。
ファーストインパクト: 口当たりは、非常に厚みのある酸味と甘味。線が太く、飲みごたえがあるのに、決して重たくありません。
フレーバー: 口いっぱいに広がるのは、蜜がたっぷり入った**「リンゴ感」**。完熟フルーツのような華やかな香りが鼻を抜けます。
余韻: そして、噛めば噛むほど出てくるような米の旨味。全体的に非常にジューシーで、果汁を飲んでいるかのような満足感があります。
「米の味がしっかりするのに、フルーティー」。現代の日本酒造りの技術が生んだ、ハイブリッドな美味しさです。
今回頂いたボトルのデータはこちらです。
銘柄名:蔵王 -Four Seasons-
酒蔵:蔵王酒造(宮城県・蔵王町)
原料米:宮城県蔵王町産 美山錦 100%
精米歩合:85%
アルコール分:15度
仕様:創業150周年記念醸造酒
原材料:米(国産)、米麹(国産米)
なぜ150周年に「85%精米」なのか。その背景にある哲学と技術を深掘りします。
1. 創業150周年の「原点回帰」と「挑戦」
明治6年(1873年)創業の蔵王酒造。この「Four Seasons」は、150年の歴史を記念して造られた限定酒です。
通常、記念酒は高精白(35%や40%など)の高級酒になりがちですが、彼らはあえて**「85%」という低精白**に挑戦しました。
これは、食用米と同じくらいしか削らないことで、「米本来の旨味やエネルギー」を表現しようとする原点回帰の姿勢と、それでも雑味を出さずに綺麗な酒に仕上げるという、現代の醸造技術への自信の表れです。
2. 地元・蔵王町産「美山錦」への愛
使用しているお米は、蔵の地元である**宮城県蔵王町産の「美山錦(みやまにしき)」です。
蔵王の冷涼な気候と清冽な水で育った米を、ほとんど削らずに使う。つまり、このお酒の味わい(厚みのある旨味)は、「蔵王のテロワール(風土)そのもの」**と言えます。
地元の米を使い、地元の水で醸す。150年続いてきた地域との絆を感じさせるスペックです。
3. 「低精白×リンゴ感」の魔法
一般的に、米を削らない(精米歩合が高い)お酒は、穀物的な香りや重たい味になりがちです。
しかし、このお酒はテイスティングノートにある通り、鮮烈な**「リンゴ感」**を持っています。
「米の厚み」を残しつつ、「フルーティーな酸」でまとめる。この矛盾する要素を両立させている点に、若手杜氏を中心とした蔵王酒造の凄みがあります。
「厚みのある酸味」と「ジューシーな甘味」があるため、味のしっかりした料理や、油脂分のある食材と相性抜群です。
* 豚の角煮(お酒の酸味が脂を切ってくれます)
* チーズ盛り合わせ(低精白ならではの旨味がチーズと同調します)
* 鶏肉の照り焼き
* 酢豚(甘酢とお酒の酸味甘味がリンク!)
冷酒でジューシーさを楽しむのはもちろんですが、少し温度が上がると、85%精米ならではの「ふくよかな米の味」がさらに顔を出します。
150周年の節目にしか飲めない、歴史と技術が詰まった一本。見つけたら即確保して、蔵王の四季を感じてみてください。