【日本酒レビュー】秋田の美酒「春霞 緑ラベル」。熟れたメロンの香りと微発泡の心地よさ
今回は、名水の里・秋田県美郷町にある栗林酒造店から、蔵を代表する定番酒「春霞(はるかすみ) 純米吟醸 緑ラベル」をご紹介します。
秋田の実力派蔵元集団「NEXT5(ネクストファイブ)」の一角としても知られる栗林酒造店。その看板商品である緑ラベルは、飲むたびに「やっぱり美味しいな」と思わせてくれる安定感と、モダンな華やかさを兼ね備えています。個人的に「結構好き」な一本、その理由を深掘りします。
味わい:芳醇な果実味と、引き締めるガス感
グラスに注いだ瞬間から、期待が高まる良い香りが漂います。
ファーストインパクト: 口に含むと、芳醇な甘味と酸味がジュワッと広がります。
フレーバー: 香りの印象は、まさに「熟れたメロン」。青々しさよりも、蜜の乗った果実のようなリッチな甘みを感じます。
余韻: ここでダレないのが春霞の凄いところ。舌をチリチリと刺激する心地よいガス感と、強めの苦味が後味をキリッと引き締め、次の一杯を誘います。
甘い入り口から、スパッと切れる後味。このコントラストが非常に秀逸です。
スペック詳細
今回頂いたボトルのデータはこちらです。
銘柄名:春霞 純米吟醸 緑ラベル
酒蔵:栗林酒造店(秋田県)
原料米:秋田県産 美郷錦 100%
精米歩合:50%
アルコール分:16度
特定名称:純米吟醸酒
原材料:米(国産)、米麹(国産米)
このお酒の「ここ」が凄い!深掘り解説
「春霞」の美味しさを支える、酒米と水のストーリーをご紹介します。
- 酒蔵について:栗林酒造店
- 所在地: 秋田県仙北郡美郷町(六郷)
- 創業: 1874年(明治7年)
- 代表銘柄: 「春霞(はるかすみ)」、「栗林(りつりん)」
蔵がある美郷町六郷地区は、「名水百選」にも選ばれる湧き水の町です。蔵の敷地内からも地下水が湧き出ており、その清冽な仕込み水が、春霞特有の柔らかく綺麗な酒質のベースになっています。
- こだわりの酒米「美郷錦」
この「緑ラベル」のアイデンティティとも言えるのが、原料米の「美郷錦(みさとにしき)」です。
山田錦(母)と美山錦(父)を掛け合わせたエリート品種ですが、栽培が難しく、一時期は栽培する農家が激減しました。しかし、栗林酒造店がこの米の可能性を信じて契約栽培に取り組み、今では蔵のメイン品種として復活させました。
山田錦ゆずりの「奥行きのある旨味」と、美山錦ゆずりの「キレの良さ」を併せ持つ、このお酒の味わいそのものを作っています。 - ハイスペックな「50%精米」
精米歩合は50%。法律上は「純米大吟醸」を名乗れるスペックですが、あえて「純米吟醸」として出しています。
これは「食事に寄り添うお酒でありたい」という蔵の姿勢と、手に取りやすい価格で提供したいという思いの表れでしょう。リッチな味わいなのに飲み飽きしない理由は、この磨きにもあります。
まとめ:どんな料理に合う?
「芳醇な甘味」と「ガス感・苦味」のバランスが良いので、食中酒として万能です。特に、少しオイル感のある料理や、香草を使った料理と合います。
- 生ハムとルッコラのサラダ
- 鶏肉のハーブ焼き
- 山菜の天ぷら(春先なら最高です!)
- いぶりがっこチーズ(秋田名物との相性は鉄板)
開栓直後のガス感を楽しむもよし、少し時間を置いてガスが抜け、まろやかになった「熟れ感」を楽しむもよし。一本で二度美味しいお酒です。









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