【日本酒レビュー】純米吟醸 六三一(ろくさんいち):標高631mの情熱。山口・大平山の麓で育まれた「西都の雫」の奇跡

山口県周南市に蔵を構える「はつもみぢ」から、地域と次世代が手を取り合って生み出した特別な一本をご紹介します。

「純米吟醸 六三一(ろくさんいち)」

この数字に込められたのは、山口の象徴的な風景と、新たな酒造りへの揺るぎない決意。山口県独自の酒米「西都の雫」を、東京農業大学の学生たちが自ら育て上げ、老舗の蔵が醸した「産学連携」の結晶です。


【テイスティングレポート】層を成す甘美な酸と、りんごの余韻

  • アロマ(香り)グラスに注いだ瞬間、蜜の詰まった完熟りんごを思わせる、甘く爽やかな香りが広がります。学生たちが丹精込めて育てた米の純粋さを映し出すような、透明感のある吟醸香です。
  • フレーバー(味わい)第一印象は、非常にリッチ。厚みのある甘味と酸味が同時に押し寄せ、口内をジューシーに彩ります。この酸が「りんご感」をより鮮明に際立たせ、無濾過生原酒のような濃密なエキス分を感じさせてくれます。
  • フィニッシュ(余韻)後半は、16度というしっかりとしたアルコール感とともに、キレを生み出す苦味の余韻が訪れます。この適度な重厚感が、前半のフルーティーな甘さを綺麗にまとめ上げ、食中酒としての骨格を強固にしています。

【プロダクト詳細(スペック)】

項目内容
銘柄純米吟醸 六三一
蔵元はつもみぢ(山口県周南市)
原料米山口県産 西都の雫 100%(東京農大生 栽培米)
精米歩合55%
アルコール度数16度
原材料米(山口県産)、米麹(山口県産米)

【蔵元・技術解説】「六三一」の数字に刻まれた3つの誇り

山口県HPにも記されたこの名称の由来には、地域の産業と歴史、そして未来への思いが凝縮されています。

  1. 「六」:地域の未来を拓く「6次産業」周南市のシンボル・大平山(標高631m)の麓で、東京農大生が自ら米を育て、蔵が醸し、消費者が楽しむ。この「6次産業化」の成功モデルとしての誇りが込められています。
  2. 「三」:不屈の精神「毛利の三本の矢」山口ゆかりの毛利元就が説いた「三本の矢」。学生、大学、蔵元が一つにまとまり、折れることのない強い信念で挑んだ酒造りの団結を象徴しています。
  3. 「一」:開拓者の志「農大初のお酒造り」同大学の学生にとって、初めて自分たちで一から手掛けたお酒であるという「初(一)」の思い。この原点の情熱が、他に類を見ない力強い「西都の雫」の旨味を引き出しています。

【孤高のペアリング】濃厚な果実味に寄り添う「旨味の共演」

  • 厚切りベーコンのソテー(ハニーマスタード添え)肉の脂をお酒の酸が流し、マスタードの酸味が「りんご感」をよりフルーティーに強調します。
  • カマンベールチーズの西京味噌漬け味噌のコクとチーズのクリーミーさが、お酒の厚みのある甘味と重なり、贅沢な余韻を演出します。

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