埼玉県越生町の豊かな自然の中で醸される「越生梅林」。そのラインナップの中でも、鮮烈な印象を残す「赤ラベル」の魅力を、技術的背景とともに紐解きます。
純米吟醸の繊細さと、生原酒ならではのダイナミズムが共存する、今飲むべき一本です。
【テイスティングレポート】躍動する酸と、重層的なフレーバー
グラスから立ち上がる香りと、口に含んだ瞬間のテクスチャ。その変化を3つの段階で詳述します。
- アロマ(香り)上立ち香は非常にフレッシュ。グレープフルーツや和柑橘を連想させる、清々しく瑞々しい香りが鼻腔をくすぐります。生酒特有の若々しい息吹が感じられます。
- フレーバー(味わい)口に含んだ瞬間、ジューシーな旨味が広がります。まず感じるのは、輪郭のはっきりとしたスッキリとした酸味。そこから米由来の仄かな甘味が顔を出し、酸と甘味が絶妙なバランスで混ざり合います。
- フィニッシュ(余韻)飲み込んだ後には、心地よい苦味の余韻が長く続きます。この苦味が全体をタイトに引き締め、生原酒のボリューム感にキレを与えています。
【プロダクト詳細(スペック)】
| 項目 | 内容 |
| 銘柄 | 越生梅林 純米吟醸55赤 生原酒 |
| 蔵元 | 佐藤酒造店(埼玉県入間郡越生町) |
| 原料米 | 国産米100% |
| 精米歩合 | 55% |
| アルコール度数 | 16度 |
| 原材料 | 米(国産)、米こうじ(国産米) |
【蔵元・技術解説】佐藤酒造店が描く、理想の「生原酒」
創業以来、手造りの伝統を守り続ける佐藤酒造店。この「純米吟醸55赤」が持つ個性の源泉には、3つの技術的ポイントがあります。
- 55%という「攻め」の精米歩合吟醸規格(60%)をさらに上回る55%まで磨き上げることで、原料米のクリアな部分のみを抽出。これが、雑味のない「スッキリとした酸味」と「柑橘感」を生む土台となっています。
- 生原酒のポテンシャルを活かす設計加水による調整を行わない「原酒」であり、かつ「生」の状態。16度というアルコール分が、ジューシーな旨味をしっかりと支え、飲みごたえのある骨格を作り出しています。
- テロワールを映す「酸」の表現梅の里として知られる越生の清冽な水と空気。この環境が、お酒に凛とした酸をもたらします。佐藤酒造店はこの地の特性を活かし、単に甘いだけではない、食中酒としても機能する「酸」の表現を追求しています。
【孤高のペアリング】素材の輪郭を際立たせる組み合わせ
このお酒が持つ「酸」と「苦味」を活かす、シンプルながらも奥深いペアリングを提案します。
- 白身魚のカルパッチョ(ディルとオリーブオイル)ハーブの香りがお酒の柑橘感と同調し、酸味が魚の甘みを引き立てます。
- 山菜の天ぷら(塩)山菜特有の苦味がお酒のフィニッシュにある苦味とリンクし、口の中で一体感が生まれます。