【日本酒レビュー】低アルの概念を覆す濃密さ。吉田蔵u「レイヤード -巾着-」が刻む、ジューシーな衝撃

今夜の「孤高の晩酌」は、石川県白山市・吉田酒造店が手がける、次世代の日本酒。**「吉田蔵u(よしだぐらユー) レイヤード -巾着(きんちゃく)-」**を独り占めします。

この「レイヤード」という名の通り、本作は**貴醸酒(仕込み水の一部に日本酒を使用する製法)**をブレンドした、味わいの層(レイヤー)を楽しむ一本。アルコール分11度という軽やかさの中に、どれほどのドラマが隠されているのか。その「結構好き」と唸る完成度に迫ります。

味わい:鋭い酸が導く、メロンの雫とジューシーな余韻

低アルコール原酒=薄い、という先入観はこの一口で崩れ去ります。

  • ファーストインパクト: 舌に触れた瞬間、目が覚めるような鋭い酸味が走り抜けます。モダンな日本酒を象徴する、瑞々しくもエッジの効いた導入です。
  • フレーバー: 酸の波が引くと、一気に溢れ出すメロン感。貴醸酒由来の濃密な甘みが重なり合い、非常にジューシーな果実味となって口内を満たします。
  • 余韻: 最後は心地よい苦味の余韻が全体をタイトに締め、11度とは思えない満足感を残してスッと消えていきます。

「軽快なのに、深い」。相反する要素が共存する、まさにレイヤード(層)な美味しさです。


スペック詳細

石川の風土と、特殊な製法が融合したテクニカルなスペックです。

項目内容
銘柄名吉田蔵u レイヤード -巾着-
酒蔵吉田酒造店(石川県・白山市)
原料米巾着(石川県産) 100%
精米歩合60%
アルコール分11%(原酒)
原材料米、米麹、日本酒(石川県産米)
仕様貴醸酒ブレンド・山廃仕込み

このお酒の「ここ」が凄い!深掘り解説

「孤高の晩酌」をより知的な時間にする、吉田酒造店の挑戦を解説します。

1. 幻の復活米「巾着(きんちゃく)」

使用されているお米「巾着」は、かつて石川県で栽培されていたものの、一度は絶滅した幻の品種。吉田酒造店が復活させたこの米は、山廃仕込みと組み合わせることで、独特の力強い酸と深い旨味を生み出す原動力となっています。

2. 「貴醸酒」がもたらすレイヤードの魔法

通常の水の代わりに日本酒を使って仕込む「貴醸酒」をブレンドすることで、11度という低アルコールでありながら、リッチな甘みとコクを実現しています。テイスティングで感じた「ジューシーさ」の正体は、この緻密なブレンド技術にあります。

3. テロワールを表現する「山廃仕込み」

吉田蔵uシリーズは、全量「山廃仕込み」。自然の乳酸菌の力を借りるこの伝統製法が、モダンな「鋭い酸」のベースに複雑な奥行きを与えています。最新の感性と伝統の技が、一本のボトルの中で層を成しているのです。

まとめ:孤高の晩酌、今夜のペアリング

低アルジューシーなこのお酒には、酸味やスパイスを効かせた、少し遊び心のある肴が合います。

  • 生ハムと無花果(いちじく)(お酒のメロン感と無花果の甘みが完璧に同調します)
  • エスニック風のカルパッチョ(パクチーやナンプラーの香りを、鋭い酸が受け止めます)
  • クリームチーズの西京味噌漬け
  • スモークサーモン

「今日は少し身体を労りたい、けれど味わいに妥協はしたくない」。

そんな夜、冷やしたグラスにこの「レイヤード」を注ぎ、お気に入りの本を広げる。11度の優しさとジューシーな旨味は、一人の時間をどこまでも豊かに彩ってくれます。

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