【日本酒レビュー】埼玉の”甘い”大辛口!?飯能・五十嵐酒造「五十嵐 直汲み」が放つ魔性のギャップ


今回は、私たちと同じ埼玉県、飯能市にある五十嵐酒造から、特約店限定のブランド**「五十嵐(いがらし) 純米大辛口 無濾過生原酒 直汲み」**をご紹介します。


ラベルに書かれた「大辛口」の文字。一般的に辛口といえば「スッキリして水のようなお酒」を想像しますが、この「五十嵐」は一味も二味も違います。


良い意味でラベルに騙される、ジューシーでパワフルな埼玉の美酒をレポートします。

テイスティングノート

味わい:メロンのような甘い誘惑から、急転直下のドライエンド
グラスに注ぐと、直汲みならではの細かな気泡が見て取れます。口に含んだ瞬間の驚きは、まさに「ギャップ萌え」です。


* ファーストインパクト: 「大辛口」と聞いて身構えて飲むと、芳醇な酸味と甘味がドカンと押し寄せます。「えっ、これ甘口じゃないの?」と思うほどジューシーです。


* フレーバー: 口いっぱいに広がるのは、完熟した**「メロン」**のようなフルーティーな香り。精米歩合65%とは信じられないほど華やかです。


* 余韻: しかし、飲み込む瞬間にお酒の表情が一変します。強めの苦味と、アルコール17度のパンチ力が現れ、甘みを断ち切るようにキレのある後味で締めくくります。


入り口は甘く、出口は辛い。このジェットコースターのような味の振れ幅こそが、五十嵐の真骨頂です。

スペック詳細

今回頂いたボトルのデータはこちらです。

銘柄名:五十嵐 純米大辛口 無濾過生原酒 直汲み
酒蔵:五十嵐酒造(埼玉県・飯能市)
精米歩合:65%
アルコール分:17度
特定名称:純米酒(相当)
仕様:直汲み、無濾過生原酒
原材料:米(国産)、米麹(国産米)

このお酒の「ここ」が凄い!深掘り解説

埼玉の酒好きなら知っておきたい、五十嵐酒造のこだわりを解説します。


1. 酒蔵について:五十嵐酒造
* 所在地: 埼玉県飯能市川寺
* 創業: 1897年(明治30年)
* 代表銘柄: 「天覧山(てんらんざん)」、「五十嵐(いがらし)」
飯能のシンボルである天覧山の麓に蔵を構える老舗です。
一般流通しているメイン銘柄は「天覧山」ですが、今回飲んだ**「五十嵐」は、限られた酒販店にしか卸さない限定流通ブランド。
「天覧山」が淡麗で飲みやすいのに対し、「五十嵐」は「直汲み」や「無濾過生原酒」**を中心に展開し、個性的でパンチのある味わいを追求しています。


2. 「モダン大辛口」という新しいジャンル
昔ながらの辛口酒(淡麗辛口)は、糖分が少なくスッキリしていますが、この五十嵐は**「芳醇旨口」**の要素を持った辛口です。
香り高い酵母を使用し、お米の旨味と甘味をしっかり引き出しつつ、高い酸味とアルコール度数、そして苦味によって、最終的な味わいを「辛口(ドライ)」に着地させています。
「甘い香りなのに、後味はドライ」。今の日本酒トレンドの最先端を行くスタイルです。


3. 「直汲み(じかぐみ)」のガス感
テイスティングで感じたフレッシュさの正体は、この製法にあります。
お酒を搾る機械(槽)から垂れてくるお酒を、空気に触れさせず即座に瓶詰めするため、発酵由来の炭酸ガスがそのまま残っています。この微発泡感が、17度という高アルコールの重さを感じさせず、爽快な飲み口を演出しています。

まとめ:どんな料理に合う?

「強めの苦味」と「ハイアルコールのキレ」があるため、埼玉名物や脂っこい料理とガッツリ合わせるのが正解です。


* 東松山名物・豚のカシラ焼き(辛味噌のパンチに負けません!)
* 餃子(酢コショウで。肉汁の脂を流してくれます)
* 豚の角煮やチャーシュー
* ゴルゴンゾーラなどの青カビチーズ(苦味×苦味のマリアージュ)


埼玉にもこんなにエッジの効いた面白いお酒があるんだ!と、地元への愛着がさらに深まる一本です。


飲みごたえがあるので、オン・ザ・ロックにして少し度数を下げて楽しむのもおすすめです。

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