今回は、秋田県湯沢市の老舗・両関酒造から、実験的な限定シリーズ**「両関(りょうぜき)ラボ 純米吟醸 無濾過生原酒 -超辛口-」**をご紹介します。
両関酒造といえば、あの十四代の高木酒造が技術指導を行った「花邑(はなむら)」や「翠玉(すいぎょく)」など、芳醇で甘旨な酒質のイメージが強い蔵元です。
そんな「甘口の達人」が、日本酒度+13という**「超辛口」**を作ったらどうなるのか?
その答えは、単に辛いだけではない、驚くほど刺激的でフレッシュな一本でした。
味わい:甘さを捨てた先の、鮮烈な「青」とキレ
いつもの両関の甘い香りを想像して飲むと、良い意味で裏切られます。
* ファーストインパクト: 口に含んだ瞬間、舌を突くような刺激的な酸味が走ります。甘えのない、硬派なアタックです。
* フレーバー: 続いて広がるのは、搾りたてならではの**「フレッシュな青々しさ」**。未熟な青リンゴや、刈り取ったばかりのハーブを思わせる、若々しく鋭い香気が鼻を抜けます。
* 余韻: 17度という高アルコールも相まって、最後はスパッとキレのある後味。
甘旨口のオブラートを全て剥ぎ取ったような、骨格のしっかりしたドライな味わいです。
今回頂いたボトルのデータはこちらです。
銘柄名:両関ラボ 純米吟醸 無濾過生原酒 -超辛口-
酒蔵 :両関酒造(秋田県)
精米歩合:55%
アルコール分:17度
日本酒度:+13
仕様:無濾過生原酒、Ryouzeki Labシリーズ
原材料:米(国産)、米麹(国産米)
なぜ今、両関が「超辛口」なのか。その背景にある挑戦心に迫ります。
1. 「両関ラボ(Ryouzeki Lab)」とは?
その名の通り、杜氏や蔵人が**「実験的(ラボ)」な酒造りに挑戦するシリーズ**です。
普段のブランドイメージや伝統的なレシピにとらわれず、「今、造ってみたい酒」「飲んでみたい味」を追求して醸されます。今回は「甘口の両関」というパブリックイメージを覆すための、あえての「超辛口」への挑戦と言えるでしょう。
2. 驚異の「日本酒度 +13」
日本酒の甘辛の指標となる日本酒度。一般的に+6を超えると「大辛口」と呼ばれますが、このお酒はなんと**+13**。
数値だけ見れば激辛ですが、両関酒造の技術力により、ただ辛い(アルコールっぽい)だけでなく、米の旨味の輪郭を残しつつ、極限まで糖分を減らした「旨辛」の極地に仕上げています。
3. 「青々しさ」の正体
テイスティングで感じた「青々しさ」は、無濾過生原酒ならではのフレッシュさと、若いメロンやハーブのような吟醸香が混ざり合ったものでしょう。
甘みでマスクされない分、こうした素材そのものが持つ若々しい苦味や酸味がダイレクトに伝わってきます。これこそが、食欲を刺激する最高のアペリティフ(食前酒)効果を生みます。
「刺激的な酸」と「超辛口のキレ」は、脂の乗った料理の油分をバッサリと切ってくれます。
* 寒ブリの刺身(今の時期、脂ノリノリのブリには最強の相棒です)
* 豚カツや天ぷら(塩で食べるのがおすすめ)
* 焼き肉(タレよりも、レモン塩やワサビで)
* 〆鯖(シメサバ)
お正月料理の甘い味付けに少し飽きてきた今、「辛い酒で口の中をリセットしたい!」という気分の時に、これ以上ない選択肢です。